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私は彼女と長い夢をみる (2018-2020)

私は彼女と長い夢をみる

 

Statement :

碧様

 

しばらくお会いできなくなりましたね。

そちらでの暮らしはどうでしょうか?

 

この5年間、互いの作品のために協力し合えたこと、その瞬々が、私にとってとても貴重な時間でした。

あなたからは何度もありがとうと言われたのに、私はあなたへの感謝を伝え切れていなかったのではないかと、手紙を書いています。

 

あなたの造る花が、私はとても好きでした。

5年前、2015年の冬に、「祈り」をテーマにした作品集のための撮影を頼まれたときはだから、とても嬉しかったのです。そして、癌との闘病にあることを打ち明けられて言葉を失いました。でも「すべては神様のおはからいに委ねる」と話すあなたは、いつも悠然として映りました。それはきっとあなたに「祈り」があるからなのだと思っていました。

そのあなたに、「祈りとは何か」について訊ねた時、あなたは答えましたね。「祈りとは対話。そして私の作品は祈りそのもの」と。私はその言葉に不思議な感動を覚えました。

 

紹介していただいた修道院に幾度となく通ったのも、その感動の手がかりを得たいと思ったからでした。森に囲まれた修道院での礼拝と黙想の日々。それは自分自身との対話でもありました。感謝の気持ちに満たされたり、不安や傲慢な感情を見つめたりしました。そして、私の祈りは”願い”だったように思います。願いながらも、思いは叶わないだろう、流れを変える力はないだろうと心は乱れて、悲しみに囚われることもありました。その中で私は決めたことがあります。それはあなたとこれからもずっと一緒に作品を作り続けるということ、一年後も二年後も完成を一緒に喜び合うという夢を持つことです。私はようやく祈ることができたように思えました。

 

修道院にはたくさんの窓があり、差し込む光は透明で美しく、私は長い間眺めていました。私の決心に、光は輝きを増したように思えました。

 

そういえば、あなたは、この作品のタイトルを見て喜んでくれ、 ”魂は永遠” と言葉を送ってくれましたね。

訊ねたいこともいっぱいで、もっと「ありがとう」とも言いたかったけれど、それは次にあった時に. . . 。

感謝を込めて. . . 

千代田路子

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用紙 : アワガミ 楮二層紙/ インクジェットプリント

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