© Michiko Chiyoda

Oshichi

 

Statement :

私はある人形館で魅惑的な八百屋お七の人形に出会った。

お七とは、恋人に会いたい一心で放火事件を起こし火刑に処された歴史的に有名な少女。残された恋人は僧となり一生涯、巡礼の旅をして過ごしたと言われている。私はこの江戸時代の史実に基づく物語に興味を持った。

人形を見つめていると、少女が残した恋人のその後の人生について深く心を痛めているように感じ、私は人形の思いを抱いて、恋人の巡礼の後をたどる旅に出ることにした。

旅すがら、しばしば少女の気持ちを感じ、静かな悲しみが漣のように押し寄せてきた。

 私たちは、人生の局面で大切なものを失うことが多々有る。失い嘆いても私たちは時間を元に戻すことはできない。永遠を願ってもいつかは死を迎える存在だ。その厳然たる掟の前ではどうすることもできない悲しさを私達は背負って生きている。

一方悲しみは他者への愛と分かち難くあり、人を共感させ、結び付ける大きな力を持っている。私は、この悲しみに共感することで、悲しみから共に一歩踏み出すことができる、これは私たちに与えられた大きな力なのではと思った。

この地にあるすべてのものが同じ宿命を背負い、共感できるものとして存在しているのだと思った時に、広い世界との深いつながりを感じた。

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用紙 : 伊勢和紙 風祥 / インクジェットプリント

エディション: 10 /  用紙サイズ: 15inch (W) -19inch(H) : 381mm(W)-483mm(H)