Starting a New Story
ある日、隣町に奇妙な形の廃棄物工場を見つけて興味を覚え、撮影を始めた。この町には雑木林や畑の中に工場や倉庫が数多くあった。狭い道路を大型車が砂煙を上げてひっきりなしに走っていたが、人の気配は少なく、私は不思議と安らぎを覚えた。
この町を撮影し始めたのは、ちょうど両親の介護に追われている時だった。老いは誰にでも訪れるものだが、親の報われない最後に虚しさを感じていた。
撮影し始めてしばらくして父が亡くなった。 痩せて、枯れ葉がカサカサと落ちてゆくような最後だった......